• 事務局通信

2018年07月18日

鷲田清一氏×佐々木幹郎氏対談「大正という『現代の起点』を読む」を開催

628日(木)、東京・八重洲ブックセンターにて鷲田清一氏(京都市立芸術大学学長)と佐々木幹郎氏(詩人)による対談「大正という『現代の起点』を読む」を、八重洲ブックセンター主催、講談社・サントリー文化財団による共催で開催しました。

本トークショーは、2012年より財団がおこなってきた研究会「可能性としての『日本』」の成果をまとめた『大正=歴史の踊り場とは何か』(講談社選書メチエ)の出版を記念したイベントです。これまでサントリー文化財団では、研究者やジャーナリストの方々を対象とするフォーラムを行ってきましたが、今回は本を手にとって下さった読者の皆さまとの直接の交流の場を持ちたいと、この対談をを行いました。

イベントには、4名の著者の中からお二人にお越しいただき、なぜ今回「大正時代」に注目したのか、その時代に民衆の生活がどのように変化したのかなど、「大正」の面白さについて、本の内容に留まることなくお話いただきました。

「民衆にとっての現代社会の原型が、大正時代に現れた。通勤するサラリーマンや、性別による役割分担が生まれたのはこの時代」と話すのは鷲田氏。

佐々木氏は「明治の外国人が『なぜ日本人は時間にルーズなのか』と書き残している。鉄道が時間を厳守するようになったのも大正時代のこと。それまでは時間の管理がいい加減で、列車同士がぶつかることもあった」と、現代の日本人に根付く「時間厳守」の感覚が生まれたのも大正時代であると述べました。

次々と興味深い事実が掘り起こされた本対談は、佐々木氏の「この研究会はあと10年くらいやるべきだなあ!」とのお言葉で締めくくりに。会場から時折笑い声も上がる、和やかな会となりました。

質疑応答では、会場から様々な質問が飛び出しました。「(現在に繋がる)人々の生活や意識が大正期に成立したということだったが、突然それまでと違う生活様式が主流になり、民衆は困らなかったのか?」との疑問に、佐々木氏は「当時の記録を見ると、庶民たちはみんな新しい文化にワクワクしている。これが大正時代の面白いところ」と楽しそうに語られました。

興奮冷めやらぬまま、トークショーは終了。サイン会では、著者の方々と言葉を交わす来場者の姿が多く見受けられました。

今後も、サントリー文化財団では様々な調査研究を行い、成果を広く発信していきます。

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投稿者(柴)

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