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2018年10月12日

  • [中部]

地域文化の未来を考える研究会 IN富山① 

20年30年後の日本に多彩で豊かな地域文化を引き継いでいくためには、

今、何をなすべきかを考える「地域文化の未来を考える研究会」で、

8月25日から27日にかけて富山県を訪ねヒアリング調査を行いました。

(研究会詳細は、沖縄ヒアリング調査のブログをご参照ください。)


地元中高生のブラスバンドや住民による音楽団が参加するスキヤキ・パレード


ヒアリング1日目の8月25日(土)は、南砺市の旧福野町で行われる

スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド」の初日。

1991年に地元の青年たちが始めたこのイベントは、

今では日本最大級のワールドミュージックの祭典になり、

ワールドミュージックのファンが各地から詰めかけています。


実行委員長の橋本正俊さん、福野文化創造センター館長の竹本修志さん、

初代実行委員長の河合秀和さん


2004年に8町村が合併して南砺市が誕生。

福野町から受けていた経済的な支援が今後どうなるのかという

不安の中、スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールドが生き残るために、

規模を拡大して知名度アップに努め、

住民参加型のパレードも始めたそうです。

それでも今年は市からのサポートが削減され、

質は絶対に落とさないことを最優先に、会場を縮小して開催。

その結果、かえって初期の頃のような、

濃密な音楽空間が戻ってきたとのこと。

「拡大から縮小へ」の転換は、多くの地域文化活動にとって、

今後、ひとつの重要な課題になってくるのではないでしょうか。


ヒアリングの後、冒頭の写真にあるスキヤキ・パレードに。

一時、激しい通り雨があって、中止になるのではと心配しましたが、

青空も戻って無事、開催!

研究会メンバーも、パレードに参加している人形と

ハイタッチをしたり、触れ合ったりしてご機嫌です。


2日目の26日は、高岡市内のホテルでヒアリングを続行。

午前中は、高岡市福岡町の「福岡町つくりもんまつり」の皆さん。

右手奥から、実行委員長の上田久之さん、副実行委員長の矢竹有至さん

観光協会事務局長の山崎博さん、製作者代表の越井政雄さんと高田憲弘さん

高岡市商工会福岡支所長の土井浩さん、つくりもんまつり事務局の平野哲史さん


つくりもんまつりは、江戸時代から続く野菜の見立て細工のお祭り。

9月中旬の祭りの2日間、旧福岡町内の38箇所に、

住民手づくりの作品が展示されます。

毎年、15万人前後の観光客が訪れ、

2017年には「ふるさとイベント大賞」内閣総理大臣賞を受賞。


そんなつくりもんまつりの悩みは、町の中心部の人口減少と高齢化。

近年急速に全国的に広がっている現象です。

でも、福岡町では20年近く前から後継者育成のために、

小学生につくりもんをレクチャーしていて、

町内に住んでいない若者たちが祭りの準備期間だけ帰ってきて

製作している例もあるそうです。

ヒアリングに参加してくださったつくりもん名人たちが語る

仲間と一緒に創る喜びとお客さんに見てもらう喜び。

この喜びを共有する若者たちも育っていて、

彼らがこれからも祭りを支え続けるのではないかと思いました。


午後からは、南砺市の旧井波町で3年に1度行われている

いなみ国際木彫刻キャンプ」の皆さんです。

実行委員会顧問の長谷川総一郎さん、木彫刻家の土田信久さん、

井波総合文化センター館長の永井厳さん、キャンプ事務局長の柴田秀光さん


井波は江戸時代から続く木彫刻の町。

1991年から3年に一度、国内外から招聘した木彫刻作家が

井波に1ヶ月滞在し、木彫刻を制作するイベントを開催しています。

日本では欄間や仏壇などの木彫刻の需要が減っていますが、

海外でも木彫刻は下火になっているということです。

木彫刻という文化全体に時代の波が襲いかかっているという状況です。

そんな中、井波の木彫刻キャンプに触発されて新しいことを始める

木彫刻のアーティストがいたり、

山車や獅子頭の製造、修理ができる職人がいなくなり、

全国から井波に注文が集まる傾向も生まれているそうです。

井波が、世界と日本の木彫刻の中心地になる。

継続することによって、それが可能になるかもしれません。



続きは「地域文化の未来を考える研究会IN富山 ②」

をご覧ください。

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投稿者(島)

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