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2019年07月10日

  • [近畿]

「能勢人形浄瑠璃 鹿角座公演」に行って来ました

6月下旬、「能勢 浄瑠璃の里」としてサントリー地域文化賞を2007年にご受賞いただいた大阪府能勢町にある、「淨るりシアター」で行われた人形浄瑠璃の公演に行って来ました。

能勢は大阪府の最北端にある「おおさかのてっぺん」の町です。この地域では、江戸後期から「語り」と「三味線」からなる「素浄瑠璃」が行われていました。

200年間継承されてきた能勢の浄瑠璃は、1993年に「淨るりシアター」が開館したことをきっかけに新しい展開を見せます。従来の「素浄瑠璃」に人形・囃子を加え、ビジュアル面での魅力を強化した「人形浄瑠璃」を上演するようになります。

現在では約60名の座員を擁する「能勢人形浄瑠璃鹿角座」が、淨るりシアターや神社他地域の劇場で公演を行っています。(リンクから過去のブログ記事にアクセスできます。)

今回行われたのは鹿角座が毎年6月に行う公演で、毎年町内外から大勢の観客が訪れます。

時事ネタを取り込んだ公演のチラシ。「令和」の文字を掲げる人形と、テレビの前で見つめる人形たちの姿が。

ロビーで開演を待っていると、能勢PRキャラクターの「お浄」と「るりりん」の人形が登場!踊りを披露してくれました。

2人は2014年に誕生したキャラクターですが、昨年浄瑠璃の人形としてもデビューしました。

今回の公演では「女心・愛」をテーマに、「仮名手本忠臣蔵」「日高川入相花王(ひだかがわいりあいざくら)」「壺坂観音霊験記」の3つの演目が上演されました。

客席はほぼ満席で、鹿角座の人気の高さが伺えます。
赤穂浪士の討ち入りをモデルにした「仮名手本忠臣蔵」の一場面です。(※舞台写真は鹿角座提供)

主君への忠義心から切腹しようとする勘平(右)と、それを諭す恋人のお軽(左)。白地に黒いドットが描かれたお軽の着物がおしゃれ!オフィスガールをイメージした衣装だそうです。


「壺坂観音霊験記」より、目の見えない夫の沢市(右)と共に寺参りに出かけるお里(左)。

夫婦愛と、観音様への信仰を描いた作品です。

特に人形の巧みな動きに驚かされたのが、お里が針仕事をする場面。

糸を切り、布を縫うという日常の細かなしぐさが見事に表現されており、観客からも思わずといったようにため息のような歓声が上がりました。

小・中学生からベテランまでが一緒に舞台に上がります。

各演目の前には紙芝居風のイラストでストーリーを解説してもらえるため、浄瑠璃に詳しくなくても話の内容を理解して楽しむことが出来ました。この演出に合わせて、公演のパンフレットも紙芝居のようなデザインです。

その他にも、きれいな衣装やこだわりのあるパンフレットなど、毎年違った仕掛けがたくさん用意されており、何度も足を運びたくなります。

実は私自身も昨年初めて能勢の人形浄瑠璃を楽しく鑑賞し、今年の公演を心待ちにしていた一人です。

なにより演じている皆さんの真剣な表情や、上演後のほっとしたような笑顔を見ていると、「また来年も見に来たいな」と思える公演でした。

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投稿者(柴)

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