- 地域文化ナビ
2013年11月26日
- [四国]
土佐・赤岡の「絵金蔵」を訪ねて
2013年10月26日、昨年活動20周年を迎えた「土佐絵金歌舞伎伝承会」事務局長の横矢佐代さんを訪ねて、高知県香南市赤岡町に伺いました。
◆「土佐絵金歌舞伎伝承会」 サントリー地域文化賞受賞者プロフィールhttps://www.suntory.co.jp/sfnd/prize_cca/detail/2000cs3.html
今回ご案内していただいたのは、「絵金蔵」(公式HP)です。
絵金とは、江戸時代末期、高知城下に生まれた絵師・金蔵の通称。
土佐藩の御用絵師として活躍しますが、事情があって狩野派を破門され、追放の身となります。放浪の後、おばを頼って住みついた赤岡で、歌舞伎の場面を描いた「芝居絵」に開眼しました。現在も、赤岡町には数多くの作品が残されています。
絵金の芝居絵を元に作られたフラッグ
「絵金蔵」は、こうした作品の保存と展示を目的に、絵金をもっと町の文化として発信しようと、地元の人たちが中心になって知恵を出し合い、2005年に誕生しました。
絵金蔵の入場券
ここでは、7月第3土曜日、日曜日の「絵金祭り」でしか見られなかった絵金の作品を、いつでも見ることができます。
絵金祭りでは、夕暮れ時から、ろうそくの灯りで芝居絵を鑑賞します。
「血赤」とよばれる独特の絵の具は暗闇で鮮やかに浮かび上がり、血の海に沈む女、転がる首、人魂、鬼など、おどろおどろしい場面が、生き生きと見えるそうです。
◆香南市HP内 絵金祭りの紹介
http://www.city.kochi-konan.lg.jp/kanko/event01.php
この祭りの夜さながらに、絵金蔵でもちょうちんを近づけて芝居絵(レプリカ)を見たり、保存されている本物の作品を蔵の穴からのぞいたり・・・
さまざまな仕掛けで、恐ろしくて美しい絵金の作品世界をまるごと体感できるようになっています。
初めて触れた絵金の世界でしたが、現代にも通じる生々しい人間の姿や、ダイナミックな構図に、すっかり引き込まれました。
見てはいけないものを見てしまったような、だからこそもっと見たいような、今度は祭りの時に来たい!という気持ちが高まりました。
赤岡の町には他にも・・・
絵金蔵のむかいには、明治の芝居小屋を復活させた「弁天座」(公式HP)があります。
芝居絵に描かれた歌舞伎の演目を町の人たちが演じる「土佐絵金歌舞伎」が行われるほか、様々な文化活動に使われる交流拠点となっています。
この日もイベントの準備中でした。
絵金蔵・弁天座から徒歩3分のところには、骨董屋「おっこう屋」(=「奥」にあるものに「光」をあてる)、隣には築200年の町屋を改装したカフェ「タオ 道」など、町に馴染むお店がならびます。
横矢さんが、「なーんにもないでしょう(笑)。でもそれが良いと言って来る人もいるんですよね」 と仰るのがよくわかります!
かつて交易の拠点として栄えた赤岡町には、古い町並みがつづき、観光地にありがちな喧騒はなく、ゆったりとした時間の流れを感じながら、散策を楽しめます。
絵金蔵にある、町歩きマップや絵金の謎や見所を伝える「蔵通信」など、町の人ならではのディープな案内をたよりにお散歩はいかがでしょう?
海もすぐそば。絵金もこの波音を聴いていたのでしょうか?