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2021年03月29日
- [中部]
「人形浄瑠璃『猿八座』」に第42回サントリー地域文化賞を贈呈
2021年3月21日、新潟県新発田市において、「人形浄瑠璃『猿八座』」に第42回サントリー地域文化賞の正賞(楯)を贈呈しました。
「人形浄瑠璃『猿八座』」は、佐渡に伝わる「文弥人形」を受け継ぐ人形浄瑠璃の一座です。代表の西橋八郎兵衛(はちろべえ)さんは、元々大阪で文楽の修業を積んでいましたが、文弥人形に惹かれて1979年に佐渡へ移住。文弥人形の座で人形の遣い方を学んだのち、「文弥人形の伝統を引き継ぎながら、他の芸能の要素も含んだ芝居にも挑戦したい」と、1995年に猿八座を立ち上げました。
猿八座では、現在では上演が途絶えた古い演目を復活させて上演する一方で、「現代の観客にとっても面白い舞台にしたい」と試行錯誤を重ね、新しい人形浄瑠璃の可能性を探っています。
「文弥人形」の特徴は、「一体の人形を一人の遣い手が操る」こと。3人がかりで一つの人形を操作する文楽などと異なり、よりスピード感のある動きが表現できるそうです。
贈呈に先立ち、猿八座の皆さんによる「三番叟」が上演されました。(左・西橋氏、右・渡部八太夫氏)
「三番叟」とは公演に先立ち演じられるおめでたい演目で、扇や鈴を持った翁が三味線の音色と共に舞います。
三番叟の上演後、西橋氏に正賞の楯、座員の堀八島(ほりやしま)氏(左から5番目)に副賞の目録をお渡ししました。
贈呈後、西橋氏からは「佐渡に伝わる文弥人形は、元々は大阪が発祥地です。それが佐渡に伝わって今まで受け継がれてきました。私はその文弥人形を佐渡にとどめておく必要はないと考えています。かつて大阪の文弥人形が全国に広まったのと同様に、今後は佐渡から全国に文弥人形をお返ししていきたい。そのためにも今回の賞を活かしてやっていきたいと思います。」と今後の意気込みをお話いただきました。
私たちが帰る際には、お人形と遣い手の皆さんがお見送りをして下さりました。
人形も衣装も座員の皆さんの手作りだそうです。
次に猿八座が上演を目指している演目は、「説経・をぐり」。
昨年から稽古をはじめ、今年の年末には上演したいと考えているとのことです。
新潟から人形浄瑠璃の魅力を発信し続ける猿八座の活動は、これからも多くの観客を楽しませてくれるでしょう。