- 地域文化ナビ
2015年06月22日
- [中国]
山口鷺流狂言保存会が100年ぶりのアメリカ公演を開催
2012年にサントリー地域文化賞を受賞した山口鷺流狂言保存会が、2015年2月にアメリカ・ケンタッキー州のセンター大学で公演を行いました。その動画がyoutubeにアップされています。
◆公演のダイジェストと4つの演目の動画
https://www.youtube.com/watch?v=sEo6RiwPdhA
◆サントリー地域文化賞プロフィール
https://www.suntory.co.jp/sfnd/prize_cca/detail/2012c3.html
鷺流はもともと、大蔵流、和泉流と並ぶ、狂言三大流儀のひとつ。このうち、大蔵流、和泉流は家元が存続して、それぞれの流儀に属するプロの役者がいますが、鷺流だけは家元が途絶えてしまい、プロの世界からは滅びてしまいました。けれども山口では、明治期に伝承されて以来、町の人たちがお互いに稽古をつける形で大切に守ってきました。
長い歴史を持つ山口鷺流狂言。
なんと、100年前にもアメリカで狂言を披露したといわれているそうで、詳しいことはわかっていませんが、そのときの写真が残されています。
サンフランシスコ在住の西村直太郎氏(右)がアメリカ人風の男性と共演していることから、アメリカ公演と伝わっているそうです。
今回の公演は、山口県立大学が学術交流協定を結んでいるセンター大学で、日本文化を紹介するイベントの一つとして行われました。
当日は英語での簡単な場面説明があるだけで通訳はなし。それでも所作や掛け合いの面白さにすぐさま反応があり、笑いが巻き起こります。
「感動的な反応」にどんどん演技がのってくる保存会の米本太郎さん(右)。
役者の一挙手一投足を注視する観客。「ここで笑うか?」という感度の良さはぜひ動画で!
米本さんに公演の感想を伺いました。
「アメリカと日本の舞台、演劇に対する感覚の違いを感じることができました。通訳なし、場面転換の字幕のみで現地の人は多くを理解くださり、こちらも気分よく演じさせていただきました。滞在中は、記録的な大寒波で大雪だったのですが、現地の人たちの温かさに救われました。舞台上だけではなく、町を歩いても皆好意的でした。その国に行かなければわからないことがたくさんあるのだと感じました。」
歴史的な公演の様子を、ぜひ皆さまもご覧ください!
https://www.youtube.com/watch?v=sEo6RiwPdhA
山口鷺流狂言保存会では、8月末には山口市の中原中也記念館で中也の詩を狂言のセリフ回しで読むという子ども向けのワークショップを行うそうです。
11月7日には、定期公演も開催されます。今後の活動にもご注目ください。