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2016年04月05日
- [四国]
中国人留学生たちと訪ねた「馬路村 ゆずのふるさと村づくり」
サントリー文化財団が助成を行っている中国人若手研究者(サントリーフェロー)と「サントリー地域文化賞」受賞地を訪問する毎年恒例行事「フェロー旅行」に2月26日、27日の2日間で行ってきました。
今回訪問したのは高知県。初日は2003年に受賞した「馬路村 ゆずのふるさと村づくり」https://www.suntory.co.jp/sfnd/prize_cca/detail/2003cs3.htmlに行きました。
まずは昼食!ということで、ちりめんじゃこで有名な安芸市の「廓中ふるさと館」へ。
名物の「かき揚げちりめん丼」は、どんぶりの上にたっぷりのちりめんじゃこが盛ってあり、さらにその上に掻き揚げがのっているという、女性陣にはかなりのボリュームの昼食でした。
ちりめん丼でお腹いっぱいになったところで目的地の馬路村へ。バスを走らせると途中で「岩崎弥太郎生家」の看板を発見。スケジュールには無かったのですが、急遽見学することにしました。
三菱財閥の創業者である岩崎弥太郎について、地元のボランティアの方が親切に説明して下さり、歴史の専門家でないメンバーも興味深く見学していました。思わぬ形で日本の歴史について勉強する機会となりました。
見学が終わり、改めて馬路村へ。細い曲がり道をクネクネと1時間ほど車で走らせると、ようやく馬路村に到着です。
馬路村は人口が900人程度。高知県東部の山の中にある小さな村です。村の96%が山林のため、かつては林業が産業の中心でしたが、国有林事業の撤退に伴い過疎化が進んでいきました。そんな中、昭和40年頃から「ゆず」を新たな産業として取り組み始め、今では年間約30億円の売上を誇っている「ゆずの村」として発展してしています。
まずはゆずの加工品を製造している馬路村農協へ。
農協職員の長野桃太さんから、馬路村がゆず製品の加工に取り組むまでの歴史についてご説明いただきました。馬路村農協での取り扱いはゆずのみ。一つの農作物しか扱わない農協というのは全国でも珍しいようです。それだけゆずに対してのこだわりをもった村だということがわかります。
村で生産されるゆずはほとんどが加工品となり、こちらの農協で製造しています。
農協内には商品開発を行う研究室もあり、新しいゆず商品を生み出す研究も日々行われております。
製造された商品には全国各地から電話注文があるようで、多い日には1日2,000件ほど注文を受けています。農協が製造・販売の中心的な役割をはたしているんですね。
多くの注文に対応するために効率化を図ることも考えましたが、あえて手作業での梱包を行っています。一つ一つ丁寧に梱包することでお客様一人ひとりに対し愛情を持って対応する。小さな村だから出来る「手作り感」を大切にしています。
馬路村のゆず製品。加工食品だけでなく、化粧品や日用品も取り扱っています。(詳しくは馬路村農協ホームページへhttps://www.yuzu.or.jp/)
農協で説明を受けた後はゆず畑へ。ゆずの木がたくさん並ぶ畑を想像していましたが、実際は山の狭い斜面などの土地を利用してゆずの木を栽培しているそうです。
少ない人口、少ない土地で年商30億円のゆず産業を生み出した馬路村。「これからも新しいことにチャレンジしていき、村の魅力を県外に発信していきたい」と長野さんはおっしゃっていました。
農協でゆずの村づくりについて学んだあとは夜の高知勉強会!高知名物の「皿鉢(さわち)料理」の登場です。
高知では大皿で一度に全ての料理を出す皿鉢料理が伝統的。五穀豊穣を願うお供え物を、神様と一緒に分け合うために大皿に盛ったのが起源と言われていますが、最近では、食事の際に女性が食卓と台所を往復しないで一緒にお酒を楽しむためにできた、との話もあります。
農協の方にも参加頂き、高知や馬路村の歴史などを伺いながら楽しい宴会は続きます。
宴会の後半では、高知の宴会芸「箸拳(はしけん)」「菊の花」を体験。
「箸拳」とは、二人で3本ずつの赤箸を前面に突き出し、箸の合計本数(自分のものと相手のもの)を当てる拳遊びのことで、負けたほうが献杯を飲み干すという高知の伝統的な遊びです。最初はなかなか難しかったのですが、回数を重ねる度になれてきて、後半には威勢よく声を張り上げながらの真剣勝負!
次に行ったのは「菊の花」。みんなの杯をお盆に乗せ、どれか一つに菊の花を隠し、「菊の花― 菊の花―」と唄に合わせて杯を開けていくゲームです。菊の花を開けた人はそれまで空いた杯の分だけ飲むという簡単ながらハードなゲームでしたが、その分盛り上がり、いっぱい地元のお酒を頂きます。
ゲームが終わる頃にはみなほろ酔い気分になり、宴会も無事に終了となりました。
研修旅行1日目は馬路村のゆずの歴史や高知県民のおもてなし文化などたくさんのことを学ぶことができました。
馬路村農協の皆様、ありがとうございました。
二日目につづく・・・