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2017年01月30日

  • [九州・沖縄]

留学生たちと訪ねた「豊後高田 昭和の町」

サントリーフェローとの旅2日目は、2009年に「豊後高田 昭和の町」でサントリー地域文化賞を受賞された、国東半島に位置する大分県豊後高田市の「昭和の町」を訪問しました。 



昭和の町は"昭和30年代"を再現した町です。

豊後高田の駅前商店街はかつて国東半島を代表する商店街でしたが、モータリゼーションの発達や電車の廃線などから一気に衰退。昭和40年以降、「犬と猫しか歩かない悲劇の商店街」とまちの人から呼ばれるようになりました。そんな商店街をなんとか復活させたい!と商工会議所の商工部が中心となって話し合い・調査を進め、商店街が元気だった最後の時代である"昭和30年代"の商店街を再生させたのが平成13年。

そこから訪問者は驚くほど増え続け、わずか10年で年間40万人が訪れる町へと大変貌を遂げました。




当日はまず、この見事なまでの復活劇について、豊後高田市観光まちづくり株式会社の水田さんからレクチャーを受けました。



再生のポイントは4つ。

1)昭和の建築再生:木製看板の復元など
2)昭和の歴史再生:「一店一宝」
3)昭和の商品再生:「一店一品」
4)昭和の商人再生:コミュニケーションをとりながらの対面販売


しっかり学んだところで、昭和の町といえばこれ!
昭和32年式の日本最古の現役ボンネットバスに乗車しました。なんと無料です!


乗車し、駅前商店街を走ると、一気に昭和の時代へへタイムスリップ!
名物バスガイドの西さっちゃんの巧みな話術で車内は爆笑の渦。



また、ボンネットバスが通り過ぎると、商店街の皆さんが笑顔で手を振ってくださるのです。もうこれだけで昭和の町のとりこになってしまいます。



夢のような、懐かしいような、楽しい楽しい15分間を過ごし、素敵なバストリップは終了しました。



下車すると、なにやら人がいっぱい!
新春のお祭り「ホーランエンヤ」が行われていました。

毎年、豊漁と航海の安全を祈願して行われるこの祭事は、大漁旗や日の丸、五色の紙をつけた笹竹、吹き流しなどで飾られた満船飾の宝来船が桂川を遡ります。途中、ふんどし姿の若い男性が川に飛び込み、岸辺のご祝儀を取りに行き、宝来船からは紅白の祝い餅が大量に撒かれます。



この日は豊後高田ではほとんどお目にかかれない雪が舞っていましたが、そんなことはお構いなしに厳寒の川に飛び込む皆さんの勇敢さに胸が熱くなりました。


さて、お腹が空いてきたところで、昼食です。二日目のお昼はそばうち体験を行いました。留学生の皆さんは全員初体験。豊後高田の香り豊かなそば粉を使って、楽しくでも慎重に進めます。

「餃子は作ったことあるよ!」「パスタとは全然違う!」と会話からも多国籍さが・・・




そして完成したのがこちら。
太さはそうめんからきしめんまで様々ですが、「今まで食べたおそばで一番おいしい!」との声が。やはり自分たちでつくったごはんは格別でした。







最後はいよいよ朝のレクチャーの実践編。実際に昭和の町を歩きながら、皆さんが取り組んでこられたまちづくりを体験します。



ガイド役は井上きょーちゃんです。元管制官で英語も操る人気案内人は、なんと年間353組のお客さまをガイドするとか。

昭和の町には「ご案内人制度」があり、普通に歩くと15分程度の距離を楽しいエピソードを交えながら1時間以上をかけて案内してくれます。



「一店一宝」では各店舗ごとに逸話がいっぱい。商店街の昭和な町並みももちろんですが、お宝にまつわるお店の歴史を伺うと、町への関心や理解がより深いものになります。



また、「一店一品」では各店舗オリジナル、昭和の時代の商品(を復元したもの)が売られています。家の近所ではまず見かけることのないレトロな雰囲気漂う商品に、思わず手が伸びてしまいます。昭和の町を訪れた人が平均4000円を落としていくというのも頷けます。



商店街を歩いていると、次から次へと試食をさせてくださるので、歩き終わった頃にはお腹いっぱい。町の皆さんの温かさにも触れることができ、まさに「商人再生」も体感することができました。



商店街の他にも、かつて米蔵だった「昭和ロマン蔵」には「昭和の夢町三丁目館」「駄菓子屋の夢博物館」「昭和の絵本美術館」といった昭和がぎゅっと詰まった施設があり、そこは入った瞬間思わず「わーー!」と叫びたくなる空間です。



何と言っても、昭和の町を訪れてからのワクワク感がすごいのです。幼い頃に目をキラキラさせながら感じていた気持ちはこんな気持ちだったかもしれない、と。

昭和を経験したことがない留学生の皆さんも、平成生まれの私自身も、なぜか懐かしさを感じることのできる不思議で魅力溢れる町でした。


こうしてフェロー旅行の全行程が終了!
二つのまちづくりを学び、日本の地域文化の豊かさを再認識する二日間でした。快く迎え入れてくださった皆さま、本当にありがとうございました。













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投稿者(栗)

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