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2017年01月27日
- [九州・沖縄]
留学生たちと訪ねた
「由布院 自然と文化のまちづくり」
弊財団が助成を行っている外国人若手研究者(サントリーフェロー)と共に
「サントリー地域文化賞」受賞地を訪問する毎年恒例行事「フェロー旅行」で
1月14日(土)と15日(日)の2日、大分県に行ってきました。
1日目は1982年に受賞された「由布院 自然と文化のまちづくり」。
大分県由布市の由布院温泉を訪問しました。
由布院は過去20年以上、ランキングのトップグループを走り続けている
人気の温泉地ですが、そこには50年以上にわたるまちづくりの歴史が
あるのです。
以前、このブログでも紹介していますので、詳しくはこちらをご覧ください。
今年の参加者は、わざわざ上海、南京から参加してくれたOBも含め、
中国、韓国、台湾、イタリアからの留学生9人となりました。
もちろん、公用語は日本語。
皆さん、日本語で博士論文の執筆をされているので、
日本語は完璧です。
大分空港で集合してバスで一路由布院へ。
まずは、お店のすぐ隣の自家栽培畑で有機野菜を栽培している
イタリア料理店「ケルカス」でランチを頂きました。
由布院が大事にする自然には、牧草地や田畑など、
長年人の手が加えられた自然も含まれ、
料理は文化の重要な要素なのです。
有機野菜のサラダとスープとプレミアムモルツ
(上)
豊後牛のしぐれ煮と温泉卵のパスタ(下)
昼食後、宿に荷物をおいて、由布院の散策に。
大勢の人でにぎわう湯の坪街道で
宿の温泉を楽しむフェローなど様々。
その後、由布院温泉観光協会会長の桑野和泉さんから、
50年以上にわたる由布院のまちづくりの歴史と、
現在の取り組みについてお話を伺いました。
由布院温泉観光協会会長の桑野さん。 老舗旅館「玉の湯」の社長でもあります。
牛喰い絶叫大会や音楽祭、映画祭などのさまざまなイベントは、
外部の業者に委託せずに、すべてまちの人たちの手づくり。
自分たちのお迎えする力が及ぶ規模感を大切にして、
一緒にすごす時間を大切にしているとのことです。
そして、昨年4月の熊本地震では由布院も大きな被害を蒙ったことに触れ、
宿泊予約のキャンセルが相次ぎ、観光業だけでなく、
旅館などに食材を納めているまちの肉屋さん、魚屋さん、豆腐屋さんも
損害を受けたことを紹介。
こういうお店が立ち行かなくなると町の人たち全体の生活にも影響が出る。
だから、観光協会としては、自分たちのためだけではなく、
まちのために頑張らなければいけないと話してくださいました。
中国、台湾、韓国でも人気の高い由布院のしっかりと地に足のついた
まちづくりのお話に、留学生は熱心に聞き入っていました。
続いて同じく老舗旅館「亀の井別荘」のお食事処「湯の岳庵」で、
地元でまちづくりに関わっている皆さんとの懇親会です。
まちづくり第1世代の溝口薫平さん(上)と中谷健太郎さん(下)をはじめ、
30代、40代の若い世代の人たちも交えて、会話がはずみました。
前2列の中央4人の女性と、後列右2人の男性は由布院の皆さん
続いて、フェローの皆さんと事務局による二次会をお宿の囲炉裏を囲んで開催。
日ごろ、東京や大阪、京都などの都会で学問に励む留学生の皆さんにとって、
日本の地方の豊かさ、美しさはとても心を惹かれるものだったそうです。
また、たまに旅行をしても、土地の人と親しく会話をする機会は少なく、
非常に楽しかったうえに、学ぶところの多い研修旅行だった
という感想を頂きました。
由布院のまちづくりについては、雑誌「アステイオン」85号の
グラヴィアページ「地域は舞台」で、御厨貴先生(東京大学名誉教授)が
詳しく紹介されています。
弊財団HPでPdfをご覧になることができますので、
ご関心がある方はぜひご一読ください。
https://www.suntory.co.jp/sfnd/prize_cca/stage/pdf/ast85_s.pdf
(島)