- 事務局通信
2019年03月06日
『社会のなかのコモンズ』刊行記念イベントを開催
2月28日(木)、東京堂書店神田神保町店にて、『社会のなかのコモンズ』刊行記念イベント「平成の社会科学を振り返る:公共性からコモンズへ」を開催しました。
サントリー文化財団では、気鋭の法学者、政治学者、経済学者の先生方にお集まりいただき、2015年より調査研究事業として「コモンズ研究会」(主査:待鳥聡史氏)をおこなってきました。その成果として、このほど『社会のなかのコモンズ――公共性を超えて』(白水社)を刊行し、1990年代に流行った「公共性」論、さらにはリベラリズム・コミュニタリアリズム・リバタリアニズムといった思潮を再考しながら、この概念を彫琢するとともに、いかなる場でこの概念が有効かを検証しています。
執筆陣は、待鳥聡史氏(京都大学)、宇野重規氏(東京大学)、江頭進氏(小樽商科大学)、苅部直氏(東京大学)、鈴木一人氏(北海道大学)、砂原庸介氏(神戸大学)、田所昌幸氏(慶應義塾大学)、谷口功一氏(首都大学東京)となんとも豪華な顔ぶれです。
※コモンズ研究会の詳細については、谷口先生にご寄稿いただいたWEBアステイオン「2020年代のメタ公共性論へ向けて」をぜひご一読ください。
この日は、執筆者8名が勢ぞろい!待鳥先生から研究会と書籍についての説明があった後、苅部先生、宇野先生、谷口先生から平成の30年を振り返りながら、社会科学における公共・公共性について言及いただき、「本のタイトルが『社会のなかのコモンズ』になったのは、コモンズの原理というよりは、現代社会の課題について、コモンズ概念を使うとどのように見えてくるのかという企画になったから」、「公共性という概念とコモンズという概念とを差異化しなければと考えていくなかで、「公共性を超えて」という副題になった。誰一人、本来コモンズを研究している人間はいないけれど、ある意味色々なことをやっている研究者がこの言葉にどう触発されてものを考えるかという本」といった紹介がされました。
その後はメンバーの皆さんから研究会の裏話も交えながら、ご自身と他の章についての紹介が続き、研究会の和やかな雰囲気が伝わる楽しく充実した時間となりました。(※当日の詳細については、3月22日(金)発売の「週刊読書人」にてご紹介いただく予定です。)
閉会後は多くの方がサインを求める列をつくってくださり、「今日の内容だけでまた一冊の本ができそう」、「このメンバーが揃うのは壮観」といった声も聞かれました。
会の最後に待鳥先生が「この本自体がコモンズ大喜利、コモンズとかけて○○とといてほしい」と締めくくられたように、この本をきっかけに、一人でも多くの方がコモンズ概念を知り、自身の関心に当てはめてみてくださることを願っています。