- 地域文化ナビ
2019年12月06日
- [四国]
4kmの砂浜でTシャツひらひら!
「砂浜美術館」30周年イベントに参加しました。
「私たちの町には美術館がありません。美しい砂浜が美術館です。」
1989年、こんなコンセプトで高知県黒潮町に生まれた「砂浜美術館(通称:すなび)」の30周年記念イベントに11月4日・5日の2日間にわたり参加させていただきました。
◆「砂浜美術館」サントリー地域文化賞のプロフィール
https://www.suntory.co.jp/sfnd/prize_cca/detail/2016s2.html
1日目は「すなびシンポ」。ドレスコードは「すなBiz(Tシャツ+ジーンズ)」、会場の体育館にはTシャツが吊られ、砂浜で潮風にはためくTシャツ展が再現されています。砂浜美術館のこれまでの歩みを振り返る年表、ポスターやキルト作品などがたくさん展示されており、賑やかで楽しい雰囲気です。
地元出身のギタリスト・松田弦さんの生演奏をバックに砂浜美術館の30年間をふり返る映像の後は、館長からのご挨拶。え?砂浜美術館の館長は確かニタリクジラだったのでは。。?と思ったら、なんと沖に出た船が捉えた館長の姿と声を放送し、それをスタッフの方が通訳するという趣向。大いに盛り上がります。
メインのワークショップでは、いくつかのグループに分かれ、砂浜の風景や生き物など、砂浜美術館の「作品」写真365点の中からこれぞというものを選び、「すなびらしい」コピーをつけて50音のカルタを作るというもの。楽しい中にも、おのずと「すなびらしさって何だろう」「こういうことを伝えたいね」という議論が白熱します。
最後は、砂浜美術館の名付け親であるデザイナーの梅原真さんによるカルタの講評。「今日一番やね」と評されたのは「チョキしか出さない」とのコピーがついた、カニの写真。会場が笑い声に包まれました。
シンポジウムの後には、自分だけの「すなびグッズ」を作るワークショップも。トートバッグにスタンプをペタペタ押し、小瓶に貝殻や石ころ、シーグラス(波に揉まれて角がなくなったガラス片)を詰めて、、、はい、出来上がり。
シンポジウムの後の交流会は浜辺のそばで「すなBBQ」。すなびの「美味しい作品」たちをみんなでワイワイ味わいます。
「すなびレジェンド」と呼ばれる、創設時の中心メンバー。左から、武政登さん、松本敏郎さん、畦地和也さん。みなさん役場の職員さんでした。今でも明るく温かく、現役スタッフを支えておられます。
松田弦さんの浜辺スペシャルライヴもあり、最後はみんなで肩を組んで合唱。
このかけがえのない「美術館」と、これからも末永く付き合ってゆくためには、、そんなことを考える1日となりました。
2日目は「4kmでひらひらします」。黒潮町の小中高等学校の全児童生徒が4kmの砂浜に一直線になり、Tシャツをひらひらさせるという大掛かりなものです。
天気は快晴。砂浜ではニタリ館長らの砂像がそのときを待ちます。
真っ青な海と雲ひとつない空をバックに、いよいよみんなでTシャツをひらひらさせる瞬間が!
これらのTシャツは、過去の「Tシャツアート展」でひらひらさせたもの。いわばTシャツの同窓会でもあるのです。こちらの写真のお子さんは、今では県庁にお勤めとのこと。30年という時間を実感します。
バブル経済のただ中にあった1989年に、日ごろから親しんできた風景を美術館に見立てた砂浜美術館。それを地域の人々が世代を越えて楽しみながら30年間継承し発展させてきた、その素晴らしさを改めて感じた2日間でした。
ぜひ多くの方に訪ねていただきたい「美術館」です。