• 事務局通信

2020年02月19日

ナショナリズムとポピュリズムをテーマにコロンビア大学でセミナーを開催

2月10日(月)、ニューヨークのコロンビア大学で "Nationalism and Populism around the world: Is Japan an exception?(世界のナショナリズムとポピュリズム:日本は例外か?)" をテーマとするセミナーを、コロンビア大学東アジア研究所、コロンビア大学国際公共政策大学院、サントリー文化財団の共催で開催しました。

     ナショナリズムとポピュリズム ポスター

世界のナショナリズムとポピュリズム

前の部では、現在のポピュリズムとナショナリズムについてコロンビア大学からマーク・リラ氏、ナディア・ウルヴィナティ氏、ジャック・スナイダー氏が登壇し、ジャーナリズムスクールのアレクサンダー・スティル氏の司会のもと議論しました。

現在世界各地では、「人々の声を体現する」と称する人物が権力構造の外から現れ、反エリート的運動を主導するポピュリズム現象が起こっています。セミナーでは、グローバル化と機械化の急速な進行、移民の増加による不平等の拡大が、外国人嫌悪とナショナリズムを生み、ポピュリストが活躍する環境をつくっているとの指摘がされました。また、ポピュリストは人々の声を代弁しているのではなく、もともと存在しない問題で人々を扇動して「大衆化」するという、心理的・社会的面からの危険性が述べられました。


日本は例外か?

午後の部では、ポピュリズムを抑えることに成功していると見られている日本にテーマを移し議論が行われました。コロンビア大学の彦谷貴子氏の進行のもと、京都大学の待鳥聡史氏、ミシガン大学の筒井清輝氏、慶應義塾大学の田所昌幸氏による報告に続き、コロンビア大学のジェラルド・カーティス氏、同大学の昇亜美子氏、政策研究大学院大学の竹中治堅氏がコメントを行いました。

日本では、国内市場が比較的保護され、少子化の影響で失業率が低いこと、移民が顕在化していないこと、富裕層が自らの富を誇示しない文化があること、さらに政治がメディアをうまくコントロールしていることなどが、ポピュリズムの台頭を抑えていると説明されました。ただし、日本でも地方政治ではすでにポピュリスト政治家が誕生していて、国政では大きな勢力を持つには至っていないものの、参議院ではすでに議席を獲得する政党も誕生している事実も紹介されました。そしていずれの登壇者からも、日本でも今後ポピュリズムの力が増す可能性は否定できないとの意見が述べられました。

イベントに参加したコロンビア大学の研究者や学生をはじめ、メディア関係者が議論の様子を熱心に聴講していました。

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コロンビア大学東アジア研究所によるセミナー概要の紹介はこちら

  • このセミナーはサントリー文化財団の「グローバルな文脈での日本」の一環として開催され、後日、英語・日本でのレポートを公開予定ですので、ぜひご覧ください。

  • 登壇者の田所昌幸氏、彦谷貴子氏、マーク・リラ氏、アレクサンダー・スティル氏は、サントリー文化財団がアメリカの外交問題評議会、ドイツのベルリン高等研究所と共同で"Correspondence"を発行した国際知的交流委員会のメンバーです。

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投稿者(典)

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