• 事務局通信

2020年12月22日

<読書案内> 2020年も研究助成から多くの成果書籍が出版されました!

サントリー文化財団は1979年の設立以来、優れた人文学、社会科学分野への研究助成活動を行っています。41年間の公募での助成件数は1,254件、助成総額は13億円に上り、その学術成果の多くは論文発表や図書出版などの形で広く内外に発表されています。

今回は「人文科学、社会科学に関する学際的グループ研究助成」(現・研究助成「学問の未来を拓く」)の成果書籍として2020年に日本語で出版されたものをご紹介します。

よろしければ年末年始の読書にいかがでしょうか?
(※書籍名をクリックするとAmazonサイトもしくは出版社HPに遷移します。)


冷戦後の東アジア秩序――秩序形成をめぐる各国の構想(勁草書房)
佐橋 亮 編
東アジアの国際秩序はどこから来て、どこへ向かうのか。主要国の認識、構想、そしてその帰結を追い、東アジアの将来を見定める。

中国が台頭し、アメリカの行動が読めないなかで、東アジアは平和的な秩序を維持できるのか。本書では、冷戦後、東アジアの主要国が地域秩序をどのように認識・構想し、そして実際の秩序形成にどれほどのインパクトをもたらしたのかを検証する。東アジアの将来と日本の役割を見極めるうえで避けて通れない、画期的な研究。




国家とスポーツーー岡部平太と満洲の夢(KADOKAWA)
高嶋 航 著
指導者・岡部平太の目を通し、外交、国力、五輪とスポーツを考える

満洲事変、日中戦争、幻の東京オリンピックから、1964年東京オリンピックへ――

激動の時代、日本の近代スポーツの影には、福岡から東京、アメリカ、中国、満洲へと数奇な人生をたどった岡部平太という人物がいた。マラソン選手・金栗四三との友情、日本スポーツ界に絶大な影響を持った嘉納治五郎との対立、スポーツを通じた中国との文化工作、満洲・中国・日本の友好の夢......岡部の軌跡から、スポーツとは、政治とは、国交とは、人間とは何かをあぶりだす。




帝国日本と越境するアスリート(塙書房)※品切れ
高嶋 航、金 誠 編

帝国日本で活躍した35人のアスリートの生きざまを描き、内地と外地をあわせたスポーツの全体像に迫る。

戦前のスポーツ界で大きな存在であった満洲を中心に、朝鮮・台湾・内地で活躍した、帝国日本のアスリート35人。

「帝国日本」を内包しながらスポーツに取り組み、多様に生きたあるいは生きざるをえなかった、それぞれの人生を描き、満洲・朝鮮・台湾・内地をあわせた帝国日本におけるスポーツの全体像を明らかにする試み。




論究日本の危機管理体制――国民保護と防災をめぐる葛藤(勁草書房出版)
武田 康裕 編
テロ、サイバー攻撃、武力攻撃、自然災害、重大事故、感染リスク......
―その時、どうすべきか、何ができ、何ができないのか。

私権の制限を伴う非常事態宣言を出してでも「安全」を最優先する欧米諸国と比べ、緊急事態宣言を忌避してきた日本は「自由」の価値を優先しているのか。

研究者、行政経験者、リスクコンサルタントなど13人の専門家による現実的な選択肢を模索するための分析的論究。




「世界文学」はつくられる――1827-2020(東京大学出版会)
秋草 俊一郎 著
「世界文学」という言葉で、なにが名指されてきたのか。日・露(ソ連)・米におけるカノン(正典)の形成をめぐって、翻訳、出版、政治、教育などの観点から分析、その理念やあり方の歴史的意味を探る。日本で初めての本格的な世界文学論。

※同採択研究テーマから『世界文学アンソロジー―いまからはじめる』(三省堂)も昨年出版されています。






お酒の経済学ー―日本酒のグローバル化からサワーの躍進まで(中央公論新社)
都留 康 著
日本のお酒をめぐる環境が激変している。日本酒からビール、焼酎と主役が入れ替わりつつ一貫して消費が伸びてきたが、1990年代半ばをピークに減少に転じた。その後はデフレ下で新ジャンルやサワーが躍進する一方、クラフトビールや純米大吟醸なども人気を集める。また、日本酒やウイスキーは海外から高く評価され、輸出が急増している。日本の酒類が抱える課題とは、可能性とは。経済学と経営学の最新の研究成果を踏まえて読み解く。






分離派建築会――日本のモダニズム建築誕生(京都大学学術出版会)
田路 貴浩 編
「我々は起つ。/過去建築圏より分離し,総ての建築をして真に意義あらしめる新建築圏を創造せんがために――」。東京帝国大学工学部建築学科を卒業した若き建築家6人は、1920年,過去の建築との決別を宣言し、「分離派建築会」を結成した。20世紀初頭の芸術運動の流れを汲み、本邦初の近代建築運動として知られる分離派建築会が追い求めた芸術と建築の融合。自由な芸術を求めたその行跡を辿り、彼らがふたたび様式に美を見出すまでの過程を、32の論考で、あらゆる角度から描き出す。

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投稿者(栗)

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