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2017年08月09日

  • [中部]

「布橋灌頂会☆トークナイト」に参加しました

8月3日(木)、東京の日本橋にある「日本橋とやま館」で開催されたイベント「布橋灌頂会(ぬのばしかんじょうえ)☆トークナイト 」にスピーカーの1人として参加してきました。

日本橋三越のお向かいにあり、おいしい富山名物や洗練された工芸品が紹介・販売されています。

「布橋灌頂会」は、立山信仰と深い結びつきのある女人救済の儀式。富山県立山町の芦峅寺(あしくらじ)集落で江戸時代に行われていました。

儀式では、白装束に目隠しの女人衆が朱色の布橋を渡ります。江戸時代、男性は立山に入り厳しい禅定登山を行うことで罪をほろぼし、死後の往生を願いました。しかし立山は女人禁制であり女性は入山が許されません。そこで、橋を渡って「この世(村)」から「あの世(山)」に入ることで極楽往生を願うことを可能にしました。

明治以降130年以上途絶えていたものを、地域をあげて現代的に復元させたことが評価され、2014年、「布橋灌頂会実行委員会」がサントリー地域文化賞を受賞されました。

今回のイベントは、今年9月、3年ぶりに開催される布橋灌頂会をPRするために行われました(前回の様子はこちらもご覧下さい)。とやま館には、白装束を着せた人形や、

立山博物館から大事に運ばれてきた「おんばさま(立山の地母神)」もスタンバイ。レプリカですが、とても貴重なものです。


約30人の参加者のほとんどが女性です。スクリーン右手の方は進行役を務められた富山テレビ放送の岡部里香アナウンサー。「トークナイト」の模様は9月30日(土)に放送される「富山いかがdeSHOW」でも紹介されるそうです。

わたしは「サントリー文化財団から見た布橋灌頂会の魅力」という内容でお話をさせていただきました。世帯数140あまりの小さな集落である芦峅寺の方々が、会場設営や地元料理の仕込みなど総がかりで準備をされること、その熱意を支えているのは古からの立山信仰であることなど、サントリー地域文化賞で評価された点をご紹介しました。

江戸時代と異なり、現代の女性には様々な行動や人生の選択肢がありますが、それゆえのストレスもあります。目隠しをして橋を渡る間に自身の心の葛藤と向き合うからこそ、目隠しをはずして立山連峰を目にしたときに得られる素直な感動。昔の儀式を復元しただけではなく、現代的な意味があるということをお伝えして終えました。


続いて、この日のメインイベントである富山県立山博物館学芸員の加藤基樹さんによる布橋灌頂会の解説。立山信仰の概要や芦峅寺が果たした役割、江戸時代の女性にとって布橋灌頂会はどのようなものだったのかなど、ユーモアを交えながら分かりやすく説明され、聴衆の皆さんは立山信仰の世界にぐいぐい引き込まれていきました。

ここで嬉しいサプライズ。とやま館のバーカウンターから、立山町のお米とお水を用いてつくられた日本酒が全員に振るまわれました!




「満寿泉 立山町 大吟醸」! 限定品だそうです。


講義の後は、前回の布橋灌頂会に参加された大谷洋子さん、加藤さんとわたしの3人でのトークとなりました。大谷さんの「暗闇のなか布橋を渡り終え、目隠しをはずして目の前に立山連峰がひらけたときに、感動でからだに震えがはしった」「これまで自分を生かしてくれた様々な方々へ<おかげ様返し>をしなければいけない、と感じた」という体験談が心に響きます。

イベント後にパチリ。左が大谷さん、右が加藤さんです。

締めくくりに、立山町の舟橋貴之町長が立山の魅力を熱く語られました。

  立山町HP(http://kanko.town.tateyama.toyama.jp/pub/

布橋灌頂会は9月24日(日)に富山県立山町芦峅寺で行われます。

歴史的背景も含め、より多くの方に知っていただきたい行事だと改めて思いました。

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投稿者(波)

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