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2018年03月23日
- [四国]
留学生たちと訪ねた徳島県徳島市「阿波木偶箱まわし保存会」
サントリーフェローの皆さんと「鳴門『第九』を歌う会」のお話を伺ったあとは、徳島市内へ移動し、2017年にサントリー地域文化賞を受賞された「阿波木偶(でこ)箱まわし保存会」を訪問しました。
*お昼の様子はこちら
「阿波木偶箱まわし」とは徳島で古くから行われてきた一人で操る人形芝居です。四体の人形・木偶(千歳、翁、三番叟、エビス)を二つの木箱に入れて移動し、民家で門付を行う祝福芸「三番叟まわし」と、数体の木偶を二つの木箱に入れて移動し、路傍や民家の庭先などで演じる娯楽の芸「箱廻し」の二つの形があります。
かつては全国をまわるほど人気であったこの貴重な郷土の文化が失われていくことに危機感を持った辻本一英さん(現顧問)が1979年から地元で聞き取り調査を開始し、1995年に「阿波木偶箱まわし保存会」を結成しました。そして「三番叟まわし」をしているただ一人の芸人を探し当て、中内正子さん(現会長)が弟子入り。「師匠の門付が人々に生きる勇気や展望を与えていることを見」ながら3年間門付けに同行し、2002年より囃子方の南公代氏(現副会長)とお二人で、毎年年明けの午前0時から1000軒ほど回られています。
この日はまず、辻本さんより徳島の人形制作技術、人形の仕組みについてご説明いただきました。女性があっという間に鬼の顔に豹変し、一同びっくり!
続けて人形芝居の歴史と祈りの意味、また暮らしの中の習慣としての門付についてお話を伺い、特別に中内さんと南さんに「三番叟まわし」を見せていただきました。
福をいただいたあとは人形にも触れさせていただき、その重さと扱いの難しさを体験。一人遣いは人形の操りに加えて、浄瑠璃も自らが行う総合力が必要です。実際に触れることでその凄みをより実感し、フェローの皆さんも驚きを隠せない様子でした。
そして、辻本さんが長年集めてこられた部屋いっぱいの人形を見せていただき、頭や衣装、演目についてなどフェローから多くの質問が寄せられました。ここに収蔵されている人形は県の有形文化財に指定されているものも多く、本当に得がたい経験をたくさんさせていただきました。
夜は「鳴門『第九』を歌う会」と「阿波木偶箱まわし保存会」の皆さんと一緒に懇親会を開催。活動に惚れ込む受賞者の皆さんの熱い気持ちに接し、話の尽きない充実の時間となりました。気づけば3時間以上経っており、ホテルへチェックインしたのは22時半・・・
参加してくださった受賞者の皆さま、夜遅くまでご一緒させていただきありがとうございました!