- 事務局通信
- 地域文化ナビ
2018年03月20日
- [四国]
留学生たちと訪ねた徳島県鳴門市「鳴門『第九』を歌う会」
サントリー文化財団の研究助成を受けておられる留学生の皆さんと「サントリー地域文化賞」受賞者のもとを訪れ、学ぶ「サントリーフェローシップ地域文化研修旅行」で、3月10日(土)、11日(日)に徳島県を訪問しました。
<昨年の様子はこちら>
◇大分県由布市「湯布院 自然と文化のまちづくり」
◇大分県豊後高田市「豊後高田 昭和の町」
一日目は新神戸駅に集合し、淡路島経由で鳴門へ向かいました。最初のお食事は淡路島で海鮮料理!
鳴門の鯛をいただき、早速徳島の味覚を堪能。皆さんと改めて近況報告をしあいながら楽しい時間を過ごしました。
そして、大鳴門橋から鳴門の渦潮を眺めながら徳島入り。まず、2016年にサントリー地域文化賞を受賞された「鳴門『第九』を歌う会」のお話を伺いに、鳴門市ドイツ館を訪れました。
ドイツ館は、第一次世界大戦のドイツ兵俘虜を収容していた「板東俘虜収容所」の様子が展示されている資料館です。板東俘虜収容所では所長・松江豊寿の"人権を尊重し、できる限りの自主的な生活を認める"という人道的かつ寛容な方針のもと、おおよそ1000人の俘虜たちが1917年からの三年間、多彩な産業活動・文化活動を行っていました。
当日は森清治館長にご案内していただき、地元住民から「ドイツさん」と呼ばれた俘虜たちの活動の様子を展示資料から学びました。
なかでも、音楽面では複数のオーケストラや楽団、合唱団が定期的にコンサートを開いており、ベートーヴェン作曲の交響曲第九番が日本で、そしてアジアで初めて1918年6月1日に演奏されたことは有名です。
見学の後は、この史実から鳴門市で毎年6月に「第九」の演奏会を行っている「鳴門『第九』を歌う会」の亀井俊明副理事長に活動について詳しくご説明いただきました。
鳴門を「第九」の里にしようと1982年から演奏会を始めた皆さんは、「初演の地・鳴門で歌う『第九』」の輪を全国へ広げようと1989年には「全日本『第九を歌う会』連合会」を設立。それから毎年公演を重ね、昨年の演奏会では県外では北海道から鹿児島まで415名、徳島県各地からは188名の参加があったそうです。また、姉妹都市であるドイツ・リューネブルク、戦地となった中国・青島では「里帰り公演」を開きドイツ兵の子孫も参加するなど、「第九」を通じての国際交流を積極的に展開されてこられました。
一見難しいと思われるこの国際交流を先導されてきた亀井さんは、「純粋な民間交流は文化や民族の多様性を認め合うことに繋がる」と信じて、取り組まれてきたとのこと。また、何事も「継続と強い意志があれば切り口は必ず生まれ、繋がっていく」と語られ、フェローの皆さんも強い感銘を受けている様子でした。
今年は「第九」のアジア初演100周年です。6月には様々なコンサートやイベントが予定されていますので、ぜひ鳴門市ドイツ館とあわせて訪れてみてはいかがでしょうか。