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2019年03月22日

  • [中部]

町づくりのレジェンドが足助に集結!

223日(土)、愛知県足助(現・豊田市)で開催された町づくりについてのトークイベント「振り返れば晨(あした)が見える。」に参加してきました。

今回のイベントには、町並み保存が全国的な広がりを見せる以前の1960年代から、全国各地で長年町並み保存に尽力してきた3人の「町づくりのレジェンド」、小澤庄一さん(愛知県豊田市 旧・足助町)、小林俊彦さん(長野県木曽郡 妻籠宿)、岡田文淑さん(愛媛県喜多郡 内子町)が集い、町並み保存に対する熱い想いを語りました。会場には、全国から約50人の皆さんが駆けつけました。

この会のきっかけは、昨年の秋にさかのぼります。

外国人留学生を対象とした地域文化研修旅行の打合せで内子を訪れた際、

受け入れてくださった岡田さんたちとの懇親の場で「足助に行こう!」という話が急浮上しました。

この話を足助の皆さんに伝えたところ、「足助と内子だけじゃなく、妻籠からも人を呼んでやりましょう!」との流れになり、

今回のレジェンド3人が揃うトークイベント開催が実現しました。

一人目の登壇者は、全国に先駆けていち早く町並みの景観保存活動に取り組んだ、妻籠の小林俊彦さん。なんと御年90歳とのことですが、力強い語り口調からは町づくりに掛ける熱い思いが感じられます。妻籠・足助・内子はいずれも、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されていますが、妻籠はその中でも最も早い1976年に指定を受けています。


二人目は、役場職員として、足助の町づくりの先頭に立ち、町並み保存とそこに住む人々の生活の知恵を守る活動に傾注してきた小澤庄一さん。 イベントの会場となったホテル・レストラン等の複合施設「百年草」をはじめ、様々な職人の手仕事を実演する「三州足助屋敷」などの施設を建設し、足助の文化を守り、発信するべく奮闘されてきました。(足助は、「足助 ロマンの町づくり」として1986年に地域文化賞受賞。)


そして三人目は、江戸時代末から明治にかけての町並みだけでなく、山里の景観を保存・再生・活用するという内子独自の取り組みを牽引した岡田文淑さん。古い町並みを残すことに疑問を持つ住民がいる中で地道な説得を続け、地域のアイデンティティとなるような美しい景観づくりを行いました。(内子は「内子 歴史と文化の里づくり」として1992年に地域文化賞受賞。)

それぞれ町づくりに関するご自身の経験を語った後、お互いに質問を交わしました。

内子町の岡田さんからは、「妻籠にとって小林さんの存在は非常に大きいが、町づくりに関して、小林さんの後継者は育っているのか?また、家々を守る地域住民の高齢化も進んでいると思うが、どのように考えているか?」との質問が。

町づくりに限らず、後継者不足と高齢化は地域文化全般に関わる悩ましい課題ですが、これに対し妻籠の小林さんは「後継者については色々考えてきた。妻籠では次世代のリーダーが育っている。後継者候補の人とは一緒に仕事をして、考え方ややり方を伝えている。また、住民組織もしっかりしているからご心配ありません。」との力強い返答。

小澤さんから岡田さんへは、ずばり「内子座の経営状況は?」との質問が。内子座とは、大正時代に建てられた木造の芝居小屋で、内子町のシンボル的存在です。老朽化に伴い、一時は取り壊して駐車場にする案も出ていましたが、熱心な保存運動の甲斐あり保存が決定し、今も現役の劇場として使われています。
岡田さんは、「経営は赤字。しかし、自分たちが使うべき文化ホールとしての誇りが地域住民の間にある。それが一番の取り柄。また、木造の芝居小屋である内子座が、内子という町の代名詞として使われることは、地域の皆さんにとっては喜ばしいことだと思う。」と返答。

どの地域にも課題はありますが、どなたも後ろ向きにならずに力強く町づくりについて語られる姿はとても頼もしく思えました。

トークの時間はあっという間に過ぎ、夕食の時間に。食事中には、「まだまだお話を聞き足りない!」とお三方を質問攻めにする皆さんの姿があちこちで見受けられました。


食後には、語り足りない皆さんで三次会。中には深夜の2時まで盛り上がった人もいたようです。

翌日は、帰り際に内子の皆さんと猪肉・鹿肉の流通・販売事業「山恵」の直販所に立ち寄り。害獣として駆除されてしまうイノシシを「山の恵み」として美味しくいただける流通の仕組みを作りたいと小澤さんが中心となり2013年に設立された会社です。

イノシシのお肉やソーセージを購入していると、小澤さんがお見送りに来てくださいました。

最後に小澤さんと岡田さんが、がっちり握手。



(手前左から)坂本誠さん(地域文化研究会メンバー)、縄手雅守さん(足助)、安川徹さん(内子)、前田昇さん(むきばんだ応援団事務局長)

(奥左から)西岡真貴さん(内子)、岡田文淑さん(内子)、畑野亮一さん(内子)、小島多恵子(文化財団)、小澤庄一さん(足助)、柴田晶子(文化財団)

町づくり、そして地域文化に関わるたくさんの人の想いを感じられた足助訪問となりました。

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投稿者(柴)

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