• 地域文化ナビ

2020年05月22日

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サントリー地域文化賞選考委員からのメッセージ②

このたびの新型コロナウィルス感染拡大に伴い、全国の地域文化活動が中止や延期、活動の停滞を余儀なくされていると伺っております。生活にも多大な影響を受けられている中、担い手の皆様には、心よりお見舞い申し上げます。

このような事態を受けて、弊財団として少しでも皆様のお力になれることはないかと考え、サントリー地域文化賞選考委員より励ましのメッセージをお届けさせていただくことにいたしました。
このブログにて、5人の方々のメッセージを順次ご紹介させていただきます。

今回は、東京大学名誉教授の御厨貴先生、法政大学総長の田中優子先生、詩人の佐々木幹郎先生からのメッセージを掲載いたします。
藤森照信先生と飯尾潤先生のメッセージはこちら

<御厨貴先生からのメッセージ>

コロナ災害は、すべての人間関係を分断します。家族関係さえもです。
感染者であろうとなかろうと、余所者を排除する圧力が手強いですね。
そして、この国は、外に対しても内に対しても、あっという間に鎖国状態に
なってしまいました。
本来、地域文化は人と人をつなぎ、内外共にボーダーを超えていくものである筈です。
少しでも、オンラインを使ってでも、人と人の交流を地域文化を通じて回復して
いきましょう。
コロナに打ち勝つことは難しい。だとしたら、コロナと共存・共生する道を
探らねばなりません。
地域文化は、ヤワではありません。必ずや、その地域ごとの個性を発揮することによって、一時的な鎖国状態を打破し、新たなグローバル化のあり方を発見することでしょう。
期待します!地域文化のしなやかさと、したたかさに。

御厨貴(東京大学名誉教授)


<田中優子先生からのメッセージ>

 お祭り、公演、各種催し物がなくなり、稽古さえもままならない日々だと思います。しかしこういう時にしかできないことがあります。それは地域の歴史や、日本文化全体を知ることで、皆さんが担っている地域文化を皆さん自身がさらに面白く、興味深く感じることではないか、そのことを通して、多くの人のより深い関心を呼び起こすことではないか、と思っています。
 私は学生たちとフィールドワークをするために佐渡、北秋田に通い、あるいは島根に行き、その土地の自然や祭や芸能をもっともよく知っている人たちから多くを学びました。芸能を身につけ知識も豊富な方がたは、相互にネットワークももっていて、さらに多くの方々と知り合いました。地域の皆さんと話をするために、本もたくさん読みました。先人たちが歩き、調べ、聞き訪ねた多くの記録が残っています。その土地についての本だけでなく、民俗学や芸能や歴史や気候風土についてのより広い範囲の本もあります。地域の蓄積を知り、さらに他地域との関係を知ることで、地域文化への認識は深まり、とても面白く思いました。
本との付き合いも、友人付き合いです。本という友人は古今東西に広がっていますので、昔のことも地球の裏側のことも知ることができます。その結果、その地域について、さらに広い視野から興味がわき、面白くなるのです。学生たちはフィールドワークに行くと、自分の生まれ育った場所に初めて興味を持ちます。それは別の土地に友人が広がり、そこから自分自身を見ることができるようになるからです。「私は私の土地をどう語れるだろうか?」という課題に行き当たるのです。
皆さんの活動はこれからも、地球上のさまざまな人に大きな影響を与えるに違いありません。芸能や祭や活動そのものを紹介するだけでなく、共有できる言葉で「語る」ことで、その影響がより深く意味あるものになるはずです。その方向にまなざしを向け、ぜひ今は本を読み言葉をみつけ、語る準備をなさってください。

田中優子(法政大学総長)


<佐々木幹郎先生からのメッセージ>

未来を担うのは地域文化です。コロナ禍は、人間にとって大事なものが何であるのかをはっきりさせました。
地域ごとに立ち上がる。他者と共存する文化を生み出す。
人と人との出会いが閉ざされたこの困難を通過するなかで、地元に根ざした新しい出会いが生み出されることを願っています。
急ぐ必要はなく、ゆっくりとゆっくりと。

佐々木幹郎(詩人)


サントリー地域文化賞選考委員からのメッセージ①
(藤森照信先生、飯尾潤先生)はこちら

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投稿者(柴)

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